連載第一回

 

「飛行機を操縦できるなんてすごいですねっ」

よく言われる言葉です。

 

確かにパイロットライセンスを手にするまでには、航空法規や気象、流体力学など多くのことを学ばなくてはいけません。

飛行場内のルールや管制塔とのコミュニケーションなどは、みなさん苦労されるところです。

 

しかし、操縦そのものに関しての苦労話はあまり聞きません。

 

つまり飛行機の操作自体は、楽しさが苦労を上回っているからだと思います。

 

飛行機の操作に関して、私が最も楽しいと考えるのはバランス感覚です。

 

私の場合、機体が地上で動き出した瞬間から、その感覚のスイッチが入ります。

飛行機との一体感みたい感じです。

変な言い方ですが、一種の安心感があるんです。

 

パイロットにとって飛ぶ前というのは、多少の不安感があります。

 

飛行機が故障しないか、風は強すぎないだろうか、自分の体調は大丈夫か、、、、などなど、

一端飛び上がってしまったら、自分の責任で安全に着陸させなくてはいけないので、心配事は尽きません。

 

ただ、スロットルを入れて飛行機が動き出した瞬間、それらの不安は一歩後退します。

 

それに取って代わって、飛行機との一体感というか、常にこの機体のバランスを保つことが出来るという自信みたいなものが生まれるのです。

 

このバランス感覚こそが、飛行機操縦の醍醐味だと僕は思っています。

 

そして、曲技飛行はこのバランス感覚の究極形です!!

 

エクストラ300などの最新曲技機は±10Gという機動性能を持っています。

これは人間の耐G能力の限界を超えているので、機体が壊れる前に人間が失神します。

 

つまり、Gで視界が狭まる中、自分のバランスの極限を垣間見ることが出来るわけです。

 

曲技飛行は変化の連続。

 

スピードロスがないようハイスピード失速ギリギリ手前で垂直上昇へ、

垂直上昇ラインを確認して2ポイントロール、垂直ライン確認、

垂直上昇からプッシュオーバーして垂直降下、

降下しながらスナップロール、再び垂直降下ラインを確認、

スピードを維持しながら最低高度を割らないよう、また出来るだけシャープな引起こし、

曲技しながらポジションを確認し、横風に対し修正をプラン、

そして次の科目へと再びスティックを引く、

 

この3次元のバランス感覚、このラッシュ!!!

 

皆さんが考えている、ローラーコースーター的スリルとは全く違うんです。

 

この極限状態でのバランス感覚。

 

曲技飛行でしか味わえない世界だと思います。

 

 

 G-Junkie